結婚式

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現在の時刻 十一時二十五分。



鹿児島へと向かう最終電車の中だ。


車内の中は
一日の仕事を終え安心したのか疲れて眠りにつく人、

おもむろに光だけが照らしている外の世界を
車窓からぼんやりと眺めている人、

誰に思いを綴っているのだろうか、
携帯の文字をひたすら打ち続ける人。



それぞれの乗車客がそれぞれの思いを乗せて
夜を走るその車体から奏でられるリズムは、
自分の気持ちを穏やかにさせてくれる。







カタンカタン、、、。
カタンカタン、、、。






3時間をかけて鹿児島へ向かう電車も
ここ最近では苦にはならなかった。



自分の性格上、
日頃から物事について深く考えることもないせいだろうか、

一定のリズムを奏で続け静まりかえる車内では
自然と、いろいろな事が脳裏をよぎる。

いや、
それは「半強制的」とも言えるのだろう。




少し変わっているのかもしれないが
落ち着いて自分自身の事を見つめられる場所なのかもしれない。





明日は、姉の結婚式





自分には二人の姉がいる。

二人とも
小さい頃から俺の面倒をよく見てくれた。



遊びにどちらかの姉が行く時は、
もう一人の姉が留守番をして幼かった自分の面倒を見てくれていたし、
遊び相手になってくれた。


何が原因だったのかさえ分からないようなケンカもよくしたし、
お互い殴りあうことだって、しょっちゅうだった。

そんなケンカを見て母は慌てて仲裁に入るのだが
結局いつも叱られていたのは姉達だったことを覚えている。


ただ、
自分たちの中で一番怖い存在だったのは親父だった。


何か悪い事をしでかすと
親父は容赦なく
タンスの中に閉じ込めてお仕置をしたし
殴ることも少なくなかった。



親父は厳格な人だ。



親父の父親、
つまり自分のひいお爺さんにあたる人は
「神風特攻隊」と呼ばれる戦闘員の一人だった。


よく婆ちゃんに聞かされた話をよく覚えている。


「お前のひいお爺ちゃんは、そりゃあおっかない人でねぇ
何かお前のお父さんが悪さをする度にホウキの柄で尻を叩いていたんだよ」




なるほど、
実に教育深い親父さんに父も育てられたらしい。



そんな九州男児を絵に描いたような親父



そんな親父が
一度だけ
自分に涙を見せたことがあった。








動揺した。






いつだって威厳に満ちていた人が流した涙は、
親父の長女の結婚式だった。





姉がヴァージンロードの赤い絨毯に
歩を進め

親父の座る席を過ぎ去ろうかと時には
顔をふせていた。


ただその姿は
背筋はピンと張り
以前として威厳を保っている親父に見えた。





涙を堪えている表情を除いては。








明日は、もう一人の姉の結婚式。




心から親父と
姉の結婚式を祝おう










明日がいい天気になりますように
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by yusukeohjino19855 | 2006-04-14 23:49
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